目次

透明フィルムヒーターの製品概要

透明フィルムヒーター

透明フィルムヒーターは、透過率の高い透明導電膜を発熱体とする透過性・視認性の高い面状ヒーターです。発熱するエリアに配線がないため、視認性が必要な箇所の温めに適しています。また、ヒーター自体が薄いので、柔軟性や熱応答性に優れている点も特長です。

ヒートラボではITO(酸化インジウムスズ)蒸着膜フィルムヒーターの代替として、材料の異なる低抵抗タイプと高抵抗タイプの2種類の透明フィルムヒーターがあります。その為、お客様の用途や条件に合わせて最適な仕様をカスタマイズしてご提案することが可能です。

また、面状ヒーターの設計・開発を自社で行っておりますので、お困りの内容が漠然とした状態でも、お客様のご要望に合わせてヒーターの仕様を相談しながら決めていくことが可能です。

透明フィルムヒーターの特長

高い視認性

透明フィルムヒーターを窓ガラスに貼り付けた画像

ヒートラボの透明フィルムヒーターは透過率が高く発熱エリアに電熱線がないため、視認性が必要な箇所の加熱に適しています。

全面が発熱

透明フィルムヒーターのサーモグラフィ画像

電熱線タイプのヒーターと異なり全面が発熱します。加熱対象にムラなく熱を伝えることができる効率の良さが特長です。

優れた熱応答性

Ag薄膜透明フィルムヒーター TPA10-50-50SCの温度測定データ

ヒーター自体が薄く体積が小さいため、立ち上がりが非常に早く急速な加熱が可能です。グラフは低抵抗タイプの透明ヒーター評価用サンプル品 TPA10-50-50SCの温度測定データ。

高い柔軟性

透明フィルムヒーター

フィルムヒーターの厚みが約0.1~0.5mmと薄く柔軟で、円筒形などの曲面にも密着させることができます。

透明フィルムヒーターの用途例

主に視認性が必要なエリアでの曇り止め結露防止凍結防止着雪防止融雪用途での活用されることが多いです。また、インキュベータ装置内で細胞培養液等の保温用ヒーターとして採用実績もございます。

用途例

色の付いている事例は導入事例ページで紹介しています。


透明フィルムヒーターを使用した結露防止実験

社内での結露防止実験の結果をご紹介します。
ガラスの裏面に透明フィルムヒーターを貼り付けた状態で、結露実験を行いました。
画面左側:ヒーター電源OFF、画面右側:ヒーター電源ON

透明フィルムヒーターでの結露防止実験画像
透明フィルムヒーターを用いた結露防止実験の画像

これまで曇りや結露で見えなかったもの、あるいはヒーターを挿入することで見えなかったものが透明フィルムヒーターを活用することで見えるようになります。

こちらでご紹介した事例以外にもさまざまな用途に対応できる可能性がありますので、まずはお困りの内容をご相談下さい。

透明フィルムヒーターの構造や基本仕様

透明ヒーターの基本構造

基本的には、発熱体となる透明導電層(透明導電膜)をPETフィルムで挟み込んだ構造です。
透明導電層の両端には電流を均一に流すために平行な電極が必要になります。

透明フィルムヒーターの積層構成例
  • 【絶縁層(基材)】
    PETフィルム
  • 【抵抗体(透明導電層)】
    PET基材上に成膜。成膜方法は透明導電層の材料により異なります。
  • 【平行電極(バスバー)】
    導電性ペースト、導電性テープ etc.
  • 【絶縁層(カバー層)】
    PETフィルム、透明絶縁レジストインキ(印刷) etc.
  • 【端子部】
    カシメ端子(ラグ端子、圧着端子等)、平型クリップの取付け etc.

※上記は一例です。 お客様のご要望や条件によりフィルムヒーターの構成をカスタマイズ致します。

透明ヒーターのタイプ別性能比較

現在弊社には、ITO蒸着膜ヒーターの代替として、導電材料の異なる低抵抗タイプと高抵抗タイプの2種類の透明フィルムヒーターがあります。

製品名 抵抗値
透明性 導電層の形成方法 その他
Ag薄膜透明フィルムヒーター 低い 配線見えなし
若干の黄色み
特殊スパッタリング 柔軟性高
透明導電性樹脂ヒーター 高い 配線見えなし
青透明
スクリーン印刷
コーティング
柔軟性高、追従性有
湿気及び紫外線に弱い
ITO蒸着膜ヒーター 中~高 配線見えなし
若干の黒み
蒸着 柔軟性中
マイクロクラックの恐れ有

※自社調べの参考データです。

透明ヒーターの基本仕様

透明ヒーターはお客様が想定されている使用目的や条件に応じたカスタマイズ仕様で製造しています。下記の仕様は参考程度にお考え下さい。

最大サイズ 基本製造可能サイズ:300mm × 420mm程度 (左記以上は要相談)
※作製実績:最大 450mm × 600mm程度 (要検討)
最小サイズ 要相談 (使用電圧と要求温度により異なる)
製品厚み フィルム部:0.1 ~ 0.3mm程度
端子部:1mm程度
基材 PETフィルム
耐熱温度
常用100℃以下 (瞬間ではMax.120℃以下)
端子部処理方法 ラグ端子や圧着端子をカシメて取付け、平型クリップ端子を圧着 etc.
備考及び注意事項
  • 透明フィルムヒーター自体に温度制御機能(PTC機能)はありません。別途温度コントローラ(要温度センサ)による制御やサーモスタット、PTCサーミスタ等の外部回路による制御が必要です。
  • 電極(バスバー)はヒーティング部の両端に水平になるように配置する必要があります。
  • 透明フィルムヒーターは防水ではなく、基本的に水中での使用は想定しておりません。(防滴レベルなら対応可能)

よくあるご質問(FAQ)

透明フィルムヒーターを試せるサンプルはありますか?

評価用サンプルという位置付けで規格品(有償)をご用意しています。
規格品はサイズや形状、抵抗値、粘着テープの有無など様々な仕様でご用意していますので、ご要望に近い製品でお試し頂ければと思います。

規格品のお買い求め先

※販売店により取扱い製品や型番が異なります。詳しくは各販売店サイトをご覧ください。(オープン価格)

ヒートラボとの直接取引は可能ですか?また、販売代理店等はありますか?

特定の販売代理店は設けておりませんので、直接のお取り引きが可能です。また、共通の商社様がある場合は商社経由でもお取り引き可能です。任意の商社経由の場合でも検討させて頂きますのでお問い合わせ下さい。

透明フィルムヒーターの納期はどの位ですか?

フィルムヒーターを特注される場合は、製作するヒーターの仕様や数量等によって納期が異なりますのでお問い合わせ下さい。

ヒートラボWebショップから規格品を御注文頂いた場合は、ご入金確認後、1週間程度で出荷可能です。なお、数量が多い場合や受注状況によっては更にお時間を頂く場合がありますので、お急ぎの場合は事前にお問い合わせ下さい。

透明フィルムヒーターの特注品は依頼できますか?

透明フィルムヒーターの特注品は法人様、個人事業主様からのご注文のみ承ります。
初回は試作扱いでの対応となります。

ただし、大変申し訳ありませんが、個人様からの特注品のご注文は承っておりません。
※規格品ヒーターの端子変更やケーブル取付け等のカスタム品作製は対応可能です。

透明フィルムヒーターの特注品を相談したいのですが、お打ち合わせは可能でしょうか?

お打ち合わせは対応可能です。
初回はWebミーティングツールによるオンライン打ち合わせを推奨しております。

対面でのお打ち合わせをご希望の場合は、ご来訪頂ける場合のみ対応させていただきます。(要日程調整)
申し訳ありませんが、基本的に訪問対応は行っておりませんのでご理解の程よろしくお願い申し上げます。

特注品は最低何枚から対応可能ですか?

ヒーター仕様を特注で依頼される場合、数量は最低1枚から承ります。
但し、1枚の作製だけでも設計費や版代など初期費用が必要になりますので、数量が少ない場合は合計金額が割高になってしまう可能性がございます。
詳細な金額は別途御見積りとなり、仕様決定後に算出可能です。
まずは要求仕様や条件をご教示頂き、作製可否を検討した上での見積対応となりますので予めご了承下さい。

透明フィルムヒーターに穴あけ加工はできますか?

透明フィルムヒーターに穴あけ加工をすることは可能です。

ただし、穴あけをすると電流の流れが変わるため均熱性が低下し発熱ムラが生じます。穴あけの位置や大きさによっても発熱ムラの状況は変わりますので、使用される環境下でご評価をお願い致します。なお、バスバー部分に穴あけすることはできません。

透明フィルムヒーターで円形や複雑な形状は作製できますか?

透明フィルムヒーターは円形や複雑な形状では作製することができません。理由は両端の電極(バスバー)を平行に配置しないと均一に発熱しない為です。

仮に円形状の内側に平行な電極を配置することができれば、円形状でも対応可能です。
(発熱するエリアは平行電極で挟まれた部分のみ)

参考画像

問い合わせ時にはどのような情報があれば作製可否を検討して頂けますか?

初回のお問い合わせ時に下記情報をご教示頂けるとスムーズに対応することができます。

  • ヒーターの用途や目的
  • 作製したいヒーターの形状やサイズ
  • 印加電圧(または可変できる電圧の範囲)
  • 使用する電源に電流や電力の上限があればご教示ください。
  • 要求温度や希望抵抗値、希望ワット数
    ※要求温度:何℃の環境から、何℃まで昇温させたいのか。
  • その他加工的なご要望(リード線を何m付けて欲しい、粘着テープを貼って欲しい等)

※初回から上記項目がすべて回答できない場合も多々あるかと思います。その場合は必要に応じて都度確認させて頂きますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

透明フィルムヒーターの透過率はどの位ですか?

全光線透過率は下記データとなっております。

ヒーター製品名全光線透過率 ※自社調べ
【低抵抗タイプ】Ag薄膜透明フィルムヒーター約83~85%
【高抵抗タイプ】透明導電性樹脂ヒーター約78~80%

※測定した透明ヒーターの積層構成:PETフィルム/透明導電層/PETフィルム。粘着層無し。

分光透過率は下記リンク先のデータをご確認ください。

  • 【低抵抗タイプ】Ag薄膜透明フィルムヒーターの分光透過率データはこちら
  • 【高抵抗タイプ】透明導電性樹脂ヒーターの分光透過率データはこちら

評価用サンプル(規格品) 一覧

透明フィルムヒーター製品をまずは評価したい、味見したいという方向けに、評価用サンプル(規格品)をご用意しています。製品1枚~ご購入頂けますので、お気軽にお買い求め下さい。

ご購入は下記リンク先のWebショップから、あるいは型番及び数量をご連絡頂き御見積りも可能です。御見積りご希望の際はお問い合わせ下さい。

Ag薄膜透明フィルムヒーター 規格品リスト

低抵抗タイプ(表面抵抗値 約10~12Ω/□) 耐熱100℃
※□:square

外形サイズ
(mm)
端子間
抵抗値
参考温度データシリーズ名
(商品ページへ)
50×508.5Ω (±15%)有りTA50-50-50S
100×1009.1Ω (±15%)有りTA50-100-100S
100×20020.6Ω (±15%)有りTA50-100-200S
150×1509.5Ω (±15%)有りTA50-150-150S
A4相当14.7Ω (±15%)有りTA50-A4S

※端子間抵抗値の抵抗値公差は±15%です。
※2024年11月~、基材の厚みが従来のPET125µm厚から、PET50µm厚に仕様変更になりました。(PET125µm厚品は廃番)
※TA50シリーズの参考温度データは準備でき次第アップ致します。

透明導電性樹脂ヒーター 規格品リスト

高抵抗タイプ (表面抵抗値 約100~140Ω/□)耐熱100℃
※□:square

外形サイズ
(mm)
端子間
抵抗値
参考温度データシリーズ名
(商品ページへ)
50×5093.3Ω (±20%)有りTP100-50-50S
100×100100Ω (±20%)有りTP100-100-100S
100×200225Ω (±20%)有りTP100-100-200S
150×150103.5Ω (±20%)有りTP100-150-150S
A4相当160.9Ω (±20%)有りTP100-A4S

※端子間抵抗値の抵抗値公差は±20%です。

特注品のお問い合わせ~フィルムヒーター製造までの流れ

規格品にないサイズや形状、抵抗値、追加加工等の特注仕様の試作や定期的な生産(小ロット生産や量産)をお求めの場合、基本的には下記のような流れで進めていきます。

お問い合わせ~フィルムヒーター製造までの一般的なフロー

※上記は一例であり、お客様のご要望あわせて臨機応変に対応致します。
※一点物の作製、試作のみも対応致します。

まずはお困りの内容をご相談下さい。054-689-0495受付時間 10:00-17:00(土日・祝日除く)

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